仕立て屋の恋

仕立て屋のイール氏は、人との接触を避け、周囲のアパートの住人達から嫌われている変人だった。彼の唯一の楽しみは向かい側の建物の部屋に引っ越してきた美しい女アリスの私生活を窓を通して覗き見ることだけだった。 ある日、アパート近くで少女ピエレットが殺害され、刑事は嫌われ者のイール氏を容疑者として嗅ぎまわる。しかし、イール氏は本当の犯人がアリスの婚約者エミールであることを知っていた。イール氏が窓から自分を観察していたことを知ったアリスは、彼が殺人の真相をどこまで知っているのかを調べようと、自ら接触してくる。それは、イール氏にとって甘く危険な誘惑の始まりだった。

監督:パトリス・ルコント
出演:ミシェル・ブラン/サンドリーヌ・ボネール/リュック・テュイリエ
1989年/フランス/79分
原題:Monsieur Hire 英題:Monsieur Hire
監督:パトリス・ルコント

1947年、パリに生まれる。幼少の頃は各地を転々としていたが、1967年にパリに戻り、IDHEC(映画高等学院)に入学。カイエ・デュ・シネマに所属し、短編映画を製作する。卒業後、1970年から1974年、パイロットマガジンで独創的なイラストや広告を演出した。1976年に『Les vécés étaient fermés de l'intérieur(原題)』で長編監督デビューを果たすが、これが批評家に酷評され、興行的にも失敗に終わり、次回作はコメディ『レ・ブロンゼ/日焼けした連中』(1978)まで待たねばならなくなるが、この作品が記録的大ヒットとなり、彼は一躍ヒットメ-カーとして第一線に躍り出る。
その後、ルコントはコメディ作品でヒットを飛ばし続けるが、その方向性を変え、『タンデム』(1987年)『仕立て屋の恋』(1989年)『髪結いの亭主』(1990年)といった欲望と狂気の狭間を垣間見せる人間ドラマで新境地を開き、その高い演出力は観客から好意的に受け入れられた。『仕立て屋の恋』はカンヌ国際映画祭コンペティションに選出されている。
1999年作の傑作『橋の上の娘』では、『ハーフ・ア・チャンス』(1998年)で組んだ女優ヴァネッサ・パラディを再び起用し、モノクロームの画面に流れる男女のストイックな恋愛映画は世界中で高い評価を得てゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミーネート、ナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀外国語映画賞の他数多くの賞を受賞し、主演男優ダニエル・オートュイユにセザール賞男優賞をもたらした。 コメディからドラマ、アニメーションまで多彩な作風を誇る彼の最新作は、2015年公開予定の『Une heure de tranquillité(原題)』

1976年 Les vécés étaient fermés de l'intérieur(監督・共同脚本/74分)
1978年 レ・ブロンゼ/日焼けした連中(監督・共同脚本/94分)
1987年 タンデム(監督・共同脚本/91分)
1989年 仕立屋の恋(監督・共同脚本/80分)
1990年 髪結いの亭主(監督・共同脚本/80分)
1992年 タンゴ(監督・脚本/89分)
1994年 イヴォンヌの香り(監督・脚本/90分)
1996年 リディキュール(監督/102分)
1999年 橋の上の娘(監督/90分)
2000年 フェリックスとローラ(監督・共同脚本/89分)
2002年 列車に乗った男(監督/90分)
     歓楽通り(監督・共同脚本/91分)
2004年 親密すぎるうちあけ話(監督/104分)
2006年 ぼくの大切なともだち(監督・共同脚本/96分)
2012年 スーサイド・ショップ(監督・脚本/79分)*アニメーション